にんにくの栽培方法

ニンニクの育て方のコツを伝授

家庭菜園でのにんにく栽培はコツを押さえれば初心者でも育てられます。
土づくりや病気の対策など押さえておきたいポイントを分かりやすくご紹介します。

事前準備

育てる場所

まずは、水はけの良い場所を選びましょう。水がたまりやすいと根が傷み、病気の原因になります。排水対策をしっかりしましょう。また、前作が野菜の場合、肥料の残り具合やPHの測定をお勧めします。
特に葉菜類を作った後は注意が必要です。雨あとなどに無理な畝たてを行わないように、予定より遅れても条件の良いタイミングで畝たてしてください。たい肥や苦土石灰等を入れる場合は、定植の1か月前までに行い、じっくり整えておくことが大切です。リン酸値が低い圃場、野菜を作ったことのない圃場は、リン酸を多めに施肥します。

まぁやんのワンポイントアドバイス

リン酸は土と混ざると土に吸着されやすいので、定植直前の圃場準備やリン酸分主体の追肥をお勧めします。

種子の準備

にんにくを植える前に、良い種を選ぶことがとても大切です。届いた種は風通しの良い場所で保管してください。
まずは、余裕をもって多めに用意し、しっかり選別しましょう。種球は手でやさしく割り、中でも太くてしっかりした「リン片(ひとかけ)」だ
けを使います。痛みのあるもの、小さすぎるもの、細いものは使いません。その際4g以上で「大小」で2種類に分けておくとよいです。
選んだリン片は、風通しのよい日陰に置き、たまねぎネットなどに入れて保管します。暑すぎる場所に置くと芽が出にくくなるので避けましょう。

まぁやんのワンポイントアドバイス

出来れば種子が届きましたら、早めに段ボールからキャリー等に移して風通しの良い場所で保管して下さい。

植え付け時期と方法

にんにくの植え付けは、毎年10月下旬から11月上旬頃が適した時期です。あまり早く植えてしまうと、スポンジ球や二次生長、春腐病といったトラブルの原因になってしまいます。目安として、平均気温が18℃以下になってから植えると、発芽が揃いやすくなります。

● 植える間隔
植える間隔にもポイントがあります。1つ1つのにんにくは、株間(隣との間隔)を9〜13センチほどにすると、互いに競い合ってしっかり育ちます。
また、条間(列と列の間隔)は20〜30センチあけることで風通しが良くなり、病気の予防にもつながります。
株間(隣同士の距離) 9〜13cm
条間(列と列の間)  20〜30cm

● 植える時の注意点
植える前日には、リン片を水に12時間ほど浸けておくと発芽がそろいやすくなります。植え付けの直前には病気を防ぐために消毒を出来れば行いましょう。雨降りの後など、水を多く含んだ土に無理やり植えると「練り植え」となり、発芽や初期の生育が悪くなることがあります。そうした場合は、無理に急がず、土が乾いてから植えた方が良い結果につながります。
また、植え付けに時間がかかる場合は、小さめのにんにくから先に植えると、生育のバランスがとりやすくなります。種は7〜8センチほどの深さに押し込み、上から約3センチ土をかぶせてください。浅く植えすぎると、小さなにんにくになってしまうので注意しましょう。
植えた後、晴天が続いて乾燥するようであれば、水やりをして発芽をそろえると安心です

まぁやんのワンポイントアドバイス

小さいリン片から植えてください。大きいリン片は少し時期をずらして植えて下さい。(1週間程度)
スポンジ球等の整理障害の軽減につながります。余らせる場合は大きいリン片にします。

土入れ

マルチをしない場合は必ず行ってください。(※マルチ栽培の場合は行いません。)
土を追加して株元を覆うことで、にんにくの根を守り、大きなニンニクを収穫する技です。
まず、芽が出て葉が少し伸びてきたら、本葉が出そろう前に畝の間(条間)を軽く耕し、完熟たい肥やくん炭をまいて土の表面を覆います。
バーグやケイントップでも構いません。その後、管理機等で土を跳ね上げます。土の保湿や温度管理、雑草防止などの効果があります。
数回に分けて行うのがポイントで最終的な土入れは1月上旬までに終わらせましょう。
マルチ栽培の場合は、春先の5月ごろに畑に水がたまると根が傷んでしまうので、あらかじめ畝を高くして排水を良くしておくことも大切です。
越冬前には、葉が3~5枚ほど、軸の太さが小指大くらいになるよう育てておきましょう。根がしっかり張っていると、冬の寒さにも負けず元気に育ちます。

肥料について

人間でも「メタボリックシンドローム」だと、様々な病気を引き起こす原因となります。ニンニクも同じで「大きい球を収穫したい」と思うと病気や整理障害を引き起こす原因となります。
気温が7℃以下の寒い時期は、にんにくの地上部分(葉など)はあまり成長しませんが、根のほうで少しずつ養分を吸収しています。この時期に肥
料を与えても、すぐには効果が出ず、3月や4月になってから効いてしまうことがあります。そうなると逆に育ちすぎてしまい、病気の原因になります。
プロの農家は作りにくい大玉を天候に左右されずに作りますが、初心者の方は以下のことを守って下さい。

  1. 基本的に追肥はしない方が良いが生育があるい場合は年内に追肥を終わらせる。
  2. 元肥は有機質主体の肥料を選ぶ(ロングコート等の化成肥料は避ける)
  3. 年明けに調子が悪そうな場合は、アミノ酸等の葉面散布を2~3回程度行う。

まぁやんのワンポイントアドバイス

肥料は水と温度で吸収がよくなりますので、2月~4月にかけて、乾燥がひどい場合は水をあげると、肥料の吸収率が上がります。暖かい日が続く晴れた午前中に行うことをお勧めします。目安としては1週間雨がなく、今後1週間雨が無いような場合です。

とう摘み(花芽のカット)

にんにくは春になると「とう(花芽)」が伸びてきます。いわゆる「ニンニクの芽」です。この「とう」を摘み取ることを「とう摘み(摘蕾)」といいます。とう摘みをすると、にんにくの玉が大きく育ちやすくなり、収穫量が約15%増えるとも言われています。
ただし、とうを取るタイミングはとても重要です。早すぎると「二次分球」といって、にんにくの玉が割れてしまったり、形が悪くなることがあ
ります。また、無理に引っ張って取ると葉を傷めてしまうこともあるので注意しましょう。
目安としては、とう(花芽)が伸び切り、少しくるっと回ったタイミングです。ニンニクの芽もおいしく召し上がって頂けます。

収穫のタイミング

一般的に、にんにくの収穫は、とう摘みをしてから20日〜30日ほどを目安に行いますが、近年の異常気象でこの方式が当てにならない年が増えています。その為、ゴールデンウイーク前ごろから定期的に試し掘りをしてください。
収穫の目安ですが、株全体の葉や茎が1/2〜1/3くらい黄色(まだ中心部の葉は緑が残るような状態)、試し掘りをして、にんにくの下(おしりの部分)が横に広がり平らになったころが理想です。根の両脇の実が垂れ下がる頃がマックスの収量ですが、このタイミングで大きな降雨があると一気に品質が劣化するので、葉っぱの様子を見ながら早めに収穫します。

にんにくの病害虫対策

にんにくは基本を守り、小ぶりに作ると作りやすい作物ですが、いくつかの病気や害虫には注意が必要です。
ここではよく見られる主な病気を紹介します。
農薬を極力使用したくない方は、有機表示ができる農薬、コサイド3000、ハーモメイト、Zボルドー、ジーファイン水和剤等の使用も検討ください。

春腐病(はるくされびょう)

葉に水がしみたような跡が出て、どんどん下へ広がっていき、最終的ににんにくの玉(球)が腐ってしまう病気です。悪臭はありません。

対策:雨の直前に土寄せをするのは避けましょう。また、たい肥や追肥は控えめにし、発病しやすい畑では年内のうちにコザイドボルドーやカスミンボルドーなどの農薬で予防することが効果的です。

腐敗病

にんにくの根元から腐ってしまう病気で、放っておくと株全体がダメになります。

対策:1週間おきに、株元に農薬を散布します。(カセット水和剤、カスミンボルドーなど)。ただし暑い時期の農薬は薬害に注意してください。

白絹病(しらきぬびょう)

地際に白いカビのような菌が現れ、やがて株がしおれて枯れます。土の中に長く生き残る病原菌が原因です。

対策:まず連作を避け、排水対策をしっかり行うことが大切です。被害を受けた株は早めに取り除きましょう。
予防には、植え付け前にモンガリット粒剤を土に混ぜておくと効果的です。この病気は茎や葉への農薬散布では効果がないため、土に直接   効かせる必要があります。

さび病

葉に黄色っぽい小さな斑点ができ、重症になると葉が白っぽく変色して枯れてしまいます。

対策:風通しの良い畑づくりを心がけましょう。年明けから春分までの間に、テーク水和剤やアミスタ20などの専用薬剤を2回程度散布すると効果的です。

アザミウマ類(スリップス)

葉に黄色っぽい小さな斑点ができ、重症になると葉が白っぽく変色して枯れてしまいます。

にんにくの皮にサメ肌のような傷ができ、葉も変形する害虫です。冬の間、葉の根元でひそんでいて、春になると活動を始めます。
対策:春一番の強風後などに、ダコニールやバリダシンなどの殺菌剤で早めに消毒し、被害が大きくなる前に防除するのがコツです。