農家が教える、にんにくが長持ちする保存法
にんにくは「保存がきく野菜」と思われがちですが、実はそうでもないんです。
切ってみたとき、真ん中に小さな緑の芽を見たことはありませんか?これは発芽のサインで、放っておくと芽が伸びてきてしまいます。
芽が出ていても食べることはできるのですが、水分が抜けてパサついたり、風味が落ちたりしてしまいます。できれば、芽が動いていない、フレッシュなにんにくを使いたいですよね。
じゃあ、「必要なときにスーパーで買えばいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、スーパーに並ぶまでには収穫・輸送・店頭陳列と、実はかなりの時間がかかっています。
そのため、スーパーで買えるものが必ずしも“とれたて”とは限らないのが現実なんです。
私たち生産者は、収穫したばかりの野菜をその日のうちに食べることが多いですが、都市部にお住まいの方にとってはなかなか難しいですよね。
にんにくの芽は、気温が25℃を下回ると動き出し、発芽の準備を始めます。
一方で、30℃以上になると芽は出なくなりますが、今度は水分が飛びすぎて、味や食感が落ちてしまいます。
つまりにんにくは、常温でも冷蔵でも保存が難しい、ちょっと繊細な野菜なんです。
そこで私たち農家では、にんにく専用の冷蔵庫を使って、「マイナス2℃」という絶妙な温度で保存しています。これより温度が低いと凍ってしまい、解凍するとぶよぶよ・グミのような食感に。
さらに「糖化(とうか)」という変色現象も起き、風味も大きく変わってしまいます。
実はにんにくは糖度が38〜40%もある、とっても甘い野菜。
だからこそ菌が繁殖しにくく、腐りにくい=長持ちしやすいという強みがあります。
その分、保存にはちょっとしたコツと工夫が必要なんですね。
ちなみに、この保存方法は農家ごとに試行錯誤されていて、まさに“企業秘密”。
それぞれが、自分たちのやり方でにんにくを良い状態に保つ努力を続けています。
家庭でにんにくを保存するなら、この方法!
農家のように−2℃での保存は、一般のご家庭ではなかなか難しいもの。でも、ご安心ください。ちょっとした工夫で、にんにくの鮮度をできるだけ長く保つことができます。
おすすめは、
- 皮をむかずにキッチンペーパーで包む
- チャック付きの袋に入れて冷蔵庫に保管
- 使う直前まで割らないのが◎
袋のサイズはにんにくがピッタリ入るくらいが理想。空気に触れる面積を減らすことで、乾燥や芽の成長を防ぎやすくなります。 また、一度割ってしまうと水分が逃げやすくなるため、使う直前まで割らずに保存するのがポイントです。
すりおろしにんにくを作った場合は、小分けして冷凍保存がおすすめ。 冷蔵では糖化による変色や食感の劣化が起こりやすいので、冷凍の方が安心です。
もし芽が出てしまったら、スプラウトにんにくとして育ててみるのも面白いですよ。 そのまま天ぷらにしたり、炒め物に使ったりしても美味しく食べられます。
私はにんにくが大好きで、いつも台所にひとつは置いています。冷蔵庫の奥で忘れられてしまうより、目につく場所にあるほうが、毎日の料理にも取り入れやすくて、無駄なく使える気がするんです。
にんにくは、ちょっとした保存のコツを知っておくだけで、風味も食感もぐんと長持ちします。今回ご紹介した方法を、ぜひご家庭でも気軽に試してみてくださいね。